「運転日報」の記録と保存は法令で義務付けられており、多くの企業が対象となるものです。
今回は、法令で義務付けられている内容について解説します。管理方法について検討している方は是非参考にしてみてください。
運転日報とは、運転者の氏名や運転した日時、走行距離などの情報を運転終了時に記録したものを指します。
運転にまつわる記録を日々残していくことで、管理者は運転者の運行の状況や車両の状態を都度把握することが可能となり、業務での安全運転の実現に役立てることができます。
運転日報の管理を義務付けている法律は2つ存在します。
▼貨物自動車運送事業輸送安全規則
こちらは、国土交通省が所管となる規則です。
国道交通省から認可を受けている「貨物自動車運送事業者」。その中でも、一般貨物自動車運送事業者(以下、緑ナンバー事業者)については貨物自動車運送事業輸送安全規則の第八条(業務の記録)にて運転日報の記録と保存が義務付けられています。
出典:e-Gov法令検索|貨物自動車運送事業輸送安全規則(第八条)
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=402M50000800022_20231010_505M60000800083)
▼道路交通法施行規則
こちらは、警察庁が所管となる規則です。
定員11人以上の車両を1台以上保有している、もしくはその他の自動車を5台以上保有している事業所は、安全運転管理者の選任が義務付けられています。業務目的で社用車や自家用車を利用する事業者(以下、白ナンバー事業者)の多くが対象となる規則です。安全運転管理者が行うべき業務の一つとして、道路交通法施行規則の第九条の十(安全運転管理者の業務)にて運転日報の記録と保存が義務付けられています。
出典:e-Gov法令検索|道路交通法施行規則(第九条の十)
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060)
▼緑ナンバー事業者の場合
緑ナンバー事業者においては、貨物自動車運送事業輸送安全規則 第八条(業務の記録)にて、1年間の記録保存が義務付けられています。
▼白ナンバー事業者の場合
一方、白ナンバー事業者においては、道路交通法施行規則 第九条の十第八号において運転日報の記録と保存について明記されていますが、その保存期間については明記されておりません。しかし、アルコールチェック記録の保存義務が1年間であることや、運転日報の記録を公安委員会へ提出する可能性があることを考えると、最低限1年間は保存することが求められていると考えるのが良いでしょう。
▼全ての事業者において
また別の観点では、労働基準法も関連するという見方があります。
労働基準法 第百九条(記録の保存)において「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。」旨明記されています。
運転日報には労働者にまつわる情報が記載されているため、「労働関係に関する重要な書類」に該当する可能性があります。そのため運転日報に関しては、可能な限り5年間保存をしておくことが望ましいと言えるでしょう。
※2024年4月1日現在では経過措置(労働基準法 第百四十三条)が適用され、労働基準法で義務付けられている各種記録の保存期間は当面の間は3年間となります。
出典:e-Gov法令検索|労働基準法(第百九条),(第百四十三条)
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049)
▼緑ナンバー事業者の場合
緑ナンバーを掲げる運送業者などでは、主に下記のような項目を運転日報として記録することが義務付けられています。
・ドライバーの氏名
・乗車した自動車の自動車登録番号や識別できる表示
・業務開始、終了の地点
・業務開始、終了の日時
・主な経過地点
・走行距離
・業務交代が発生した場合は、その地点と日時
・休憩または睡眠をとった場合は、その地点と日時
・貨物の積載、集荷、荷役作業などの状況
※車両総重量8t以上、または最大積載量が5t以上の自動車で運行の業務に従事した場合
・交通事故や異常が発生した場合は、その概要及び原因
・運行指示の内容
※運行の経路や経過地点における発車及び到着の日時に関する指示があった場合
出典:e-Gov法令検索|貨物自動車運送事業輸送安全規則(第八条)
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=402M50000800022_20231010_505M60000800083)
▼白ナンバー事業者の場合
営業車などの白ナンバーを使う事業者では、主に下記のような項目を運転日報として記録することが義務付けられています。
・ドライバーの氏名
・業務開始、終了の日時
・走行距離
・その他自動車の運転状況を把握するために必要な事項
出典:e-Gov法令検索|道路交通法施行規則(第九条の十)
(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335M50000002060)
最後にある「その他」の項目については、各社様々な情報を記録しているケースがあります。
例えば…
・行き先
・同乗者氏名
・車両点検の実施有無
・給油の有無、及び給油量と金額
・有料道路の利用有無、及び利用金額
・アルコールチェックの結果 等
運転日報の報告結果を車両の燃費計算に役立てているような会社もあります。
せっかく取得した情報ですから、今後は取得したデータの有効活用がテーマになってくるのではないでしょうか。
ここまで解説してきましたように、運転日報の管理については記録の項目や保存期間が定められています。
しかし、管理のためのフォーマットや媒体については指定されていません。
そのため、多くの企業では表計算ソフトを使い独自にフォーマットを作り印刷し、紙の帳票への記録、そして保存を行っています。
紙管理については手軽に始められてコストもかからないという多くのメリットがあります。
しかし、紙への記入、ファイリングの手間などを考えると業務負荷が増加しますし、紙を保管する場所も必要となります。
過去の日報を確認する必要がある際には、探し出す手間も発生します。
上記のような諸課題を解決するためにも、クラウド管理を検討するのも一つの方法です。
クラウド上でデータを管理することによって、以下のようなことが実現されます。
・隙間時間に場所を選ばず運転日報の記録ができる
・ファイリングの手間が不要
・保管場所の確保が必要ない
・必要な情報は検索してすぐに見つかる
・アルコールチェックデータなどと合わせて一元管理ができる
・データの二次利用ができる
あくまで費用対効果を見る必要はありますが、運転日報管理に関して現在の運用に困っているようなことがある際には、一度検討してみてはいかがでしょうか。
弊社では、アルコールチェック結果を一元管理する白ナンバー事業者向けのクラウドサービスである『デジタル点呼マネージャー・スマート』をご提供しています。
アルコール検知器と自動連携し、データの改ざんやなりすましができない仕様になっているため、アルコールチェック結果の信頼性を上げることに役立ちます。
また、この度新たに「運転日報管理」を標準機能として搭載することになりました。
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